武蔵野五輪弾圧救援会

2021年7月16日に東京都武蔵野市で行なわれた五輪組織委員会主催の「聖火」セレモニーに抗議した黒岩さんが、『威力業務妨害』で不当逮捕・起訴され、139日も勾留された。2022年9月5日の東京地裁立川支部(裁判長・竹下雄)判決は、懲役1年、執行猶予3年、未決算入50日の重い判決を出した。即日控訴、私たちは無罪判決をめざして活動している。カンパ送先⇒郵便振替00150-8-66752(口座名:三多摩労働者法律センター)、 通信欄に「7・16救援カンパ」と明記

被告・黒岩さん控訴趣意書 汚職まみれのオリパラに裁判所も加担している!

 

 

東京高等裁判所 御中

威力業務妨害被告事件  控訴趣意書


             2023年2月28日

             被告人  黒岩 大助

 

 2022年9月5日、私を被告とした「威力業務妨害事件」について東京地方裁判所立川支部が有罪とした判決に対して到底許すわけにはいかず、断固として原判決の破棄を求める。

            理由

 原判決は、2021年7月16日、武蔵野陸上競技場でなされた東京五輪パラリンピック(以下、オリパラと言う)の前段行事である「聖火」リレーイベントに対して、私の爆竹を鳴らすという直接行動が「業務を妨害したものではなく、抗議の意思表示である」と認定した。言っておくが、私の抗議の対象はあくまでも「聖火」リレーイベント及びオリパラそのものであり、決してイベント会社「スパイダー」の一社員U氏の「業務」ではない。原判決は、勾留状、起訴状、論告に追随したものであり、私の意思表示を矮小化するものである。
 「聖火」リレーイベントはオリパラ組織委員会事務総長武藤敏郎が「主催」したものである。しかし、原審裁判官は、「業務」の最高責任者武藤の証人申請を却下した。この最重要人物を取り逃がすことは、隠蔽工作を追認することであり、失当である。(武藤の証人却下に抗議した女性傍聴人に対し、男性廷吏によるセクハラ退廷を命じた裁判長の訴訟指揮を糾弾する)。
 私は、武藤の「業務」にこそ抗議したのである。私の居住地に隣接する武蔵野競技場で強行された「聖火」リレーイベントに抗議することを通じてオリパラの開催を何とか阻止しようと思った。さらに言うと武藤はコロナ禍で東京都の公道における「聖火」リレーの走行を中止させたが、そのイベントを華々しく飾ったことに憤りを感じた。「聖火」がいかに禍々しいものか弁護側証人が証言した通りだが、私は今回の「聖火」リレーイベントが二重三重の意味で許せなかった。
 繰り返し言うが、私の抗議の対象は「聖火」リレーイベント、及びオリパラそのものである。それは、国家をあげてのメガイベントである。原審裁判官の私に対する有罪判決はまさに国策的判決であり、同じくオリ・パラ開催に反対する人たちへの見せしめにほかならない。
 原判決は、冒頭述べた通り「本件イベントの開催自体を妨害したのではなく、オリパラやそれに関連する聖火イベントの開催に抗議したもの」とした。しかし、それならば何故、有罪判決を言い渡したのか、圧倒的に矛盾である。

 原判決は、証拠採用された弁護側の目撃証言、「聖火」とオリパラの実態を詳らかにした証言、オリパラに批判的な新聞記事、小金井市議会によるオリパラ中止の要求書をことごとく切り捨てた。さらには私の抗議の対象である「聖火」リレーイベント及びオリパラがいかなるものか具体的に判示されていない。過去の政治的事件の判決をみると、「被告人」とされた抗議者の動機の背景が多少なりとも判示されているが、原判決ではそれがない。
 また、多々問題があるオリパラがコロナパンデミックの最中に開催されることに対し、日本中・世界中の人々が反対したことについて全く触れていない。裁判官もそのことを当然知っていたはずである。にも関わらず、原判決は私の抗議行動に有罪を言い渡した。これは司法もまた国家的メガイベントに忖度している証左である。
 誰の誰による誰のためのオリパラなのか、原審裁判官は判示しなかったが、控訴審裁判官は判決の中で明確にすべきである。

 オリパラは、一旦招致が決定されれば覆すことが不可能である。故に私は爆竹を鳴らすというささやかな直接行動を抗議の手段とした。爆竹を使った行動は、過去から現在に至るまで日本を含め世界各地で闘われてきた。
 私の直接行動は軽微なものであり、表現の自由に基づいた意思表示である。私は誰も傷つけていないし、物も破損していない。
 私の爆竹を鳴らすという行動が、「聖火」リレーイベント及びオリンピックを対象としたものであると認定するのならば、その動機を評価しなければならない。動機の評価のないまま有罪をくだした原判決は不当である。控訴審は、原判決を棄却するべきである。

 東京地検特捜部は本年2月、オリパラ組織委大会運営局次長森泰夫と広告企業最大手電通のスポーツ局長補逸見晃治を逮捕した。オリパラの運営業務で談合したことに対する独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑である。森と逸見はテスト大会から本大会に至る業務を対象に受注を調整したことをすでに供述している。
 特捜部は昨年、組織委理事高橋治之を5つの企業からの口利きによる特別収賄罪で4度逮捕、起訴したがその過程で電通の名が浮かんでいた。
 原審公判において検察側証人U氏は弁護側反対尋問で、イベントの委託元として電通の名をあげた。高橋は電通の元専務であり、「スポーツビジネスの第一任者」の地位を確立させた人物である。オリパラをめぐる贈収賄事件は、高橋が代表を務めるコンサルタント会社に捜査のメスが入ったことを端緒としており、電通もまた家宅捜索されている。電通の「仕切り」は今に始まったことではなく、今回のオリパラでも巨額の報酬を得た。そしてついに、電通は組織委との談合で逮捕者を出した。
 都内における「聖火」リレーイベントの責任者は東京都聖火リレー実行委員会であるが、その一切を電通に丸投げした。私が抗議の対象とした「聖火」リレーイベント及びオリパラに抗議した時、すでに腐った金にまみれていたのである。
 原判決で「被害会社」とされたスパイダー社への電通からの委託業務もまた、この腐った金と無縁ではありえない。一連の五輪関係者の贈収賄疑惑、そして談合疑惑が明るみに出たことで、私の抗議の正当性は一層高まったと信ずる。
 東京高裁は、オリパラ事務方トップの武藤をはじめとする、都聖火リレー実行委責任者、また電通の聖火担当者を証人として呼び出すべきである。

 原判決では、私が爆竹を鳴らすという抗議の手段が、他の方法によって行うことも十分可能と言う。しかし、司法が「自己の意見や抗議を表現する手段」としたビラまき、トラメを使った情宣やデモなどに対して、これまで警察・検察権力による逮捕、起訴といった弾圧に加担してきたことを忘れたとは言わさない。警察の言いなりに逮捕状を発行し、検察の言いなりに勾留状を発行してきたのは司法である。
 これらによる身柄の長期拘束は日常茶飯事であり、「人質司法」として世界の人権感覚から大きく逸脱してものである。また、これに図に乗った公安警察は活動参加者に対する監視・尾行・プライバシー侵害・ビデオ撮影といった恫喝をなりふり構わず行ってきた。今回のオリパラにおいては、治安出動さながら自衛隊まで動員させた。
 司法は、表現の自由と言いながら、大衆運動に過剰な制限を設け、畏怖させ、圧殺してきた。原判決もまたしかりでありである。
 原判決は、「表現しようとした思想が政治的な意見であることを十分に踏まえても、表現の自由に対して制限できる」とした。しかし、司法はこれまでの判例からみても政治的意見をもった手段に対して有罪判決を乱発し、表現の自由を脅かしてきた。また、表現方法を裁判官が制限すること自体が表現の自由を侵害していることを省みるべきである。
 権力者は、常に手段いかんでなくそれが政治的意見だからこそ罰してきた。結果が無害か有害かに関わらず、直接行動の動機、即ちオリパラ反対という思想そのものが許せなかったのである。司法はそれに追随することで私を断罪した。
 控訴審裁判官は、司法が人民の思想の自由を簒奪する冷徹な暴力装置であるか、自ら肝に命じて原判決を破棄すべきである。

以 上

 

武蔵五輪弾圧一審判決→

一審判決文…国家イベントを擁護するため、事実を捻じ曲げ表現の自由を制限する司法 - 武蔵野五輪弾圧救援会

 

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五輪忖度判決粉砕★爆竹抗議無罪!
控訴審突入決起集会

日時:4/23(日)  13:30開始 ( 13:15開場 )
会場:武蔵野芸能劇場・小ホール三鷹駅北口すぐ)
お話:宮本弘典さん(刑法) ※控訴審の意見書を提出いただいた学者
「あんたを業務妨害で逮捕する!?」―反政治的な政治弾圧について
※ほか・五輪談合レポート・弁護団解説など乞うご期待!
主催:武蔵野五輪弾圧救援会( https://kyuenmusasino.hatenablog.com/entry/2023/03/15/070832
※カンパもよろしくお願いします
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