誰も被害を受けていないのに、懲役1年、執行猶予3年、未決算入50日。検察の求刑通りの安直な刑期。ふざけるな!
4月20日公判の悪夢再び、男性警備員が女性傍聴者に触りまくる性暴力退廷命令。女性差別を反省しない東京地裁、裁判長・竹下雄、恥を知れ! 男どもは、女(わたし)のからだに触るな!
即時控訴しました。安倍国葬への非難が高まる中、国家の威信をかけたメガイベントの秩序を乱すモノを1ミリたりとも許さない1審判決を認めず、控訴審に向けて始動します。これからも支援・注目、そしてカンパをよろしくお願いします。
カンパ送先⇒郵便振替00150-8-66752
(口座名:三多摩労働者法律センター)
通信欄に「7・16救援カンパ」と明記
武蔵野五輪弾圧裁判第8回公判まとめ
★判決の問題点
・オリパラへの言及一切なし:「Uの業務妨害への矮小化」という検察の筋書きをそのまま採用し、行為の動機である五輪の問題性への言及一切なし。五輪―五輪体制への忖度。
・爆竹を「破裂」「鳴らす」等ではなく、起訴状にあわせて「爆発」と表現し、「被害」を誇張。
・仮定の話による「被害」の誇張:ex.仮にもっていた爆竹を中で鳴らしていたら大騒ぎだった…。やけどの危険がある可能性…。転倒の危険がある可能性…。など、検察の主張を越えた悪ノリ判決。
・「被害者」U証人の証言の軽視:「(爆竹に)一瞬びくっとしたくらい」「(被告に言いたい被害感情は)ケガ人などもいなかったので特にない」などを取り上げず。
・妨害結果のねつ造:起訴状にいう「客の退場の20分の遅れ」への具体的反論に応えず、「Uらに退場方法の変更の再検討を余儀なくさせた」とすり替える。
★暴力的/セクハラ退廷攻撃
「被告」黒岩さんをはじめ計11人への退廷命令執行。複数の女性への男性廷吏の強制連れ出し。「性暴力だ」「女性廷吏を連れてこい」と抗議する女性傍聴者の太ももに男性廷吏の太ももを食い込ませる、運び出すときに女性傍聴者の頭をぶつけるなどの暴力。謝罪もなし。
【武蔵野五輪弾圧裁判 一審判決 速記メモ】
2022年9月5日 東京地裁立川支部刑事三部・竹下雄裁判長
※文責は救援会にあります。
(1)主文
懲役一年。
執行猶予3年。
ただし未決算入50日。
(2)認定事実
被告人黒岩さんは2021年7月16日、武蔵野競技場において行われた聖火セレモニーに対し抗議するために、歩道上において敷地内に爆竹を投げ入れ、敷地内に侵入しようとし、セレモニーの運営を委託された「被害会社」スパイダー社員Uさん等の業務を妨害した。
被告人が爆竹を爆発(註: 「破裂」でなく)させたこと、柵を乗り越えようとしたことについては弁護側は争っていない。
現地は立ち入り規制がされた状態だった。
「被害会社」社員U(民間委託された当日の統括責任者)は、退場者の整理誘導のため、入り口付近に移動していた。そこに被告人・黒岩さんが現れた。Uが被告人に近づいた。
Uは黒岩さんが手に爆竹ようのものを持っていることに気づき、「それはなに?」と質問したが返答がなかったため、警察官を手招きした。警察官を呼び寄せているところで爆竹音を聞いた。
爆竹は、敷地外、空中、敷地内で爆発した。
Uはわずかに身をすくませたが、被告人が柵を乗り越えようとしたため、後ろから被告人に抱きつき立ち入りを阻止した。
Uはスタッフらに指示し、客らの退場を20分以上待機させた。
以上は防犯カメラ映像と符合している。
(3)認定事実に関する弁護側主張について
U証人の証言の信用性は基本的に弁護側も認めているが、当日設置されていた防犯カメラ映像の分析から「参加者を20分待機させた」ことが事実でないと弁護側は言っている。
しかしこれは具体的根拠に欠ける。
Uが「一瞬待たせることになった」と証言していると弁護側は言うが、退場予定客のなかには「いつまで待たせるの」と言っていた者もいたとの証言もあり、これが文字通りの「一瞬」でないことは明らかだ。
参加者の中にはUらの制止に従わず勝手に退場した人もいたとUは証言している。
したがって、「20分くらい退場を待たせた」というU証言には一応の根拠がある。
したがって、弁護側の主張には理由がない。
(4)争点1―威力性について
被告人の行為は「人の意志を制するに足る威力行為」と認められる。
弁護側は、厳重な警備体制がある中で、爆竹程度では威力にならない、という指摘する。
しかし、警備体制が厳重であったとしても、突然爆発が起きたり、敷地内への侵入をはかるものがいたら、驚き、恐怖を感じるのは当然のことである。
また弁護側は人のいない方向に爆竹を投げた、と指摘する。
しかし、爆竹はやけどの危険性があり、侵入をはかった際のもみ合いで転倒の危険性もある。
したがってUの業務を妨害する可能性がある。
そしてUは退出方法の再検討を強いられるという、具体的な業務の妨害にいたった。
また弁護側は、具体的に妨害結果が存在しないとし、爆発がすぐに終わっていること、そして、Uにとって警備も業務のうちであったと指摘する。
しかし仮に、敷地内で所持していた爆竹全部に火をつけていたら危険性は高かった。
したがって弁護側は威力性を過小評価している。
また、被告人は警備員への影響を意識していた。したがって故意性も欠けていない。
(5)争点2―違法性の阻却について
被告人の行動が抗議の意思の表明する表現行為であることは理解できる。
したがって、その行為が憲法で保障された表現の自由の行使であるという弁護側の主張には一応の理由がある。
しかし、一方で、Uらの業務が円滑になされることも保護に値する。
憲法21条が定める表現の自由は十分保護されねばならないが、他人の権利を不当に害してはならず、被告人の行為による損害は小さいとはいえない。
被告人の行為は表現行為としての相当性を欠き、当日他の人が「適法」に抗議しているように、他の方法で抗議することは十分可能だった。
したがって、違法性が阻却されるという弁護側主張には理由がない。
また、損害が軽微とはいえないので、可罰的違法性がないという主張には理由がない。
(6)量刑の理由
犯行様態について。
被告人の行為は、Uらを驚愕させ、ともすれば負傷させかねない危険なものである。
また、Uらに対応を余儀なくさせ、客の退場方法の再検討をせまられるなど、業務が中断した時間が短かったとしても軽視はできない。
他者への影響をかえりみずに行為に及んだ被告人の刑事責任は軽視することができない。
したがって懲役一年とする。
ただし、被告人は事実関係を認めており、前科もないため執行猶予3年とする。