武蔵野五輪弾圧救援会

2021年7月16日に東京都武蔵野市で行なわれた五輪組織委員会主催の「聖火」セレモニーに抗議した黒岩さんが、『威力業務妨害』で不当逮捕・起訴され、139日も勾留された。2022年9月5日の東京地裁立川支部(裁判長・竹下雄)判決は、懲役1年、執行猶予3年、未決算入50日の重い判決を出した。即日控訴、私たちは無罪判決をめざして活動している。カンパ送先⇒郵便振替00150-8-66752(口座名:三多摩労働者法律センター)、 通信欄に「7・16救援カンパ」と明記

2/7第3回公判 弁護側証人Tさん「悪いことしなくても警察は人を捕まえることがありますから」

◆地裁前での前段集会-五輪で奪われた生活

 午後1時半、立川地裁前に人が集まってくる。今日からはいよいよ弁護側立証。問題にみちた東京五輪。無理な五輪強行を支えるための弾圧態勢。その弾圧態勢によって引き起こされた今回の不当弾圧…。このような全体の構図にどこまで迫れるかが、弁護側の大テーマである。
 前段集会では、黒岩さんの長年の友人Aさん、オリンピック災害おことわリンクの仲間、サンケン弾圧当該の尾澤さんから挨拶をもらう。なかでもAさんのアピールは印象に残ったので紹介しよう。
 音楽関係のイベント業者であるAさん。コロナ禍で仕事は激減し、昨年はなんとマイナス所得。しかし社会保険料はしっかり請求される。「東京五輪は大企業だけ潤して、私たちには“おこぼれ”すらなかった。あったのはコロナ拡大によるイベント中止と税金の大搾取だけだ」。生活実感に満ちた怒りのトーンは高く、説得力がある。「怒って当然だ。当然のことをした黒ちゃんがパクられて、税金を巻き上げてコロナ拡大を放置した五輪の連中は誰一人捕まっていない」との言葉に大きな拍手が沸いた。

◆立川地裁のひどい警備に抗議があがる
 傍聴人はほぼ満席の50人弱で、今回も抽選漏れはなし。
 立川地裁の警備はひどい。裁判所入り口での金属探知ゲート。さらにペンとノート、財布以外は全部回収される荷物預け。そのうえでの金属棒による再探知…。時計の裏まで確認させられた仲間もいた。「荷物を強制的に奪われるなんて立川地裁で初めてだ!」と抗議する仲間。「裁判長の指示なので…」と繰り返すだけの職員。理由はなんだ、と問うても、職員はまったく答えられない。
 さらにこの仲間は、入廷に際して帽子とサングラスを預けるように条件をつけられるという不当な対応。東京地裁の警備法廷をまねての対応だろうが、変なことまで真似る必要はない。傍聴者に対しての、差別的・敵対的な裁判所の姿勢である。

◆弁護側証人・Tさんが証言 不当逮捕の背景にある五輪警備の実態明らかに
 第3回公判からは弁護側立証開始。まず証拠として提出した大量の東京五輪についての新聞記事、小金井市議会の五輪開催反対意見書などが証拠採用される。
 続いて弾圧当日抗議活動の現場に参加していたTさんが栗山弁護士の質問に答えて証言。Tさんは「反五輪の会」のメンバーでもあり、五輪反対吉祥寺デモで、黒岩さんとともに活動していた。
 弁護士に「五輪反対のきっかけは?」と問われ、保育と障害者介助の仕事をしてきたことから、五輪が生み出す競争意識に懐疑的になったのがきっかけ、と答える。さらに反五輪の活動に参加するなか、無理を通すために嘘と排除を繰り返すオリンピックの本質が次々とみえてきたという。
 五輪警備のひどすぎる実態についても話し、Tさん自身が警察の暴力によって負傷した経験などについても丁寧に語ってくれた。
 証言はいよいよ当日の様子に。
 Tさんたちのグループは、7月16日、黒岩さんとは無関係に武蔵野競技場前で抗議アピールをしていた。その終盤に黒岩さんが登場し、近くで爆竹抗議を行ったのだ。
 Tさんたちは、通行人ともめたりすることもなく、むしろのアピールに共感してもらえたり興味をもった子どもが近づいてきたりしたという。一方、終始敵対的だったのは警察だ。
 裁判官は、当日の現場の様子を公安が撮影したゲート前のビデオでしか見ていない。Tさんは警察犬まで出ていたこの日の物々しい警備の様子を語り、カメラを向けてくる私服公安に抗議しても撮影を止めなかったことなどを詳しく説明する。本件弾圧が強行された背景である重警備の模様が説明される貴重な証言となった。
 爆竹抗議があり、黒岩さんが逮捕されたあと、現場では警察が現場保全・検証のために大量の警察官を並べて人垣をつくり規制線を引いた。「これが『客の退場の遅れ』につながったのではないか」とTさんは述べた。
 弁護側の質問に対してTさんはこう締めくくった。「弾圧は不当。前回証言したスパイダー社のUさんもそんなに被害を感じているという風ではなかった。国や五輪推進者の力はケタ違い。爆竹なんて圧倒的に小さい。私には黒岩さんの爆竹が、心に思っても五輪反対の声をあげることもできない人々の、閉じ込められた声を解放する音のように感じた」。
 検察側の反対尋問では、逮捕の瞬間のことが中心に。Tさんは黒岩さん逮捕の時に、警察に割って入って抗議しようとしている。それについて検察がいやらしい質問を続けたが、Tさんが「悪いことしなくても警察は人を捕まえることがある。オリパラではなおさらある」とハッキリ言いきったのが痛快だった。

◆今後の公判予定  いずれも立川地裁101号法廷15時開廷◆

【第4回】3/7(月)13:30 立川地裁前集合
     弁護側証人尋問 鵜飼哲さん(一橋大学名誉教授)
【第5回】4/20(水)13:30 立川地裁前集合
     被告人・黒岩さん尋問
【第6回】5/18(水)13:30 立川地裁前集合

◆五輪にバクチク、139日 ー 黒岩さんの獄中よもやま話◆
3/27(日)14:30~
かけこみ亭(南武線谷保駅徒歩2分、国立市富士見台1丁目17−12 エスアンドエスビル地下)
 →要予約(☎042-574-3602)

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証言するTさん

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前段集会